ローラ・フェイとの最後の会話(トマス・H・クック/ハヤカワポケットミステリ)

図書館で背表紙を物色していて、奇妙なタイトルに惹かれて手に取った1冊。大当たり。

 

主人公ルークはハーヴァードは出たものの、今はしがない三流大学の教授。20年前家族を襲った惨劇で麻痺した心を抱え、若き日の野望とはかけ離れた鬱屈した日々を送る彼の前に、事件の関係者だったローラ・フェイが突如として現れる。雇い主だったルークの父と関係し、あの悲劇の原因となった彼女を、すげなく追い払うことが何故かできないルークは誘われるまま、事件を、そしてこれまでの人生を振り返る会話に嵌まり込んでいく…

南部のうらぶれた田舎町でささやかな雑貨店を営む粗野で不器用な父、美しく教養があり、病弱な母。中途半端に優秀な少年ルークの自負と焦燥、父への侮蔑と母との固着。妻ジュリアとの出会いと別れ。時折挟まれるローラ・フェイ側のエピソード。

あちこち飛びながらルークを追い込んでいくようなローラの話題、どっちに向かわされているのかつかめない、不安で不気味な雰囲気がたまらない(ちょっとホラーめいた怖ささえある) ♪ そして会話を通じで徐々に明らかになっていく、事件の、家族の、ルークの真相。ローラ・フェイの目的。

一気に読んでしまった。ルークたちメインキャラに限らず、登場人物描写が彫が深くて好み。他の作品も読んでみたいな。

 

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