『進撃の巨人』(諌山創/別冊少年マガジン)第126話「矜持」ネタバレ感想

いやーもう、ラストは別のマンガかと思いましたよ…

  

 

1 ハンジの回想

イェーガー派の追っ手を倒したハンジ。巨大樹の森でリヴァイの手当てをしたり運搬用の台車を作ったりしているとエレン放送が聞こえてくる。

リヴァイの顔の傷は、右のこめかみから右目を通って顎にまで達する大きなものと右頬の傷(やはりこれだと右目は開かないだろうな…)。すっげー綺麗に縫合してありますね…さすが!しかし、リヴァイは生命をとりとめたものの、ジークを止める術もなく、お尋ね者となった自分たちの身を嘆き、寝ているリヴァイの傍らでひとり頭を抱えるハンジさん。「順番が来た。正しいことをしているつもりでも、時代が変われば…」と時代を動かす側から放逐されたことを痛感するのですが、ここで予期せぬ爆弾発言(笑)が!!

「いっそ二人でここで暮らそうか ねぇ… リヴァイ」

いかにもこういう場面で出て来そうな、本音交じりの冗談…なんですが、まさかここで出てくるとは…といっても次のコマではもう、リヴァイ搬送用の台車を作成中だったりするわけで(汗)リヴァイは寝たまま布団つきで道に呼ばれてますね。放送聴けたんか?

目覚めたリヴァイはジークとの顛末を手短に語ります。ジークに死ぬ覚悟があることを見抜けず、ヘマをしたと。やはり右手の人差し指と中指は付け根から切断されているようです(泣)。指もさることながら「また逃がした…」という言葉に、すごい喪失感を感じるシーン…個人的にはもうあんな奴にこだわるなと言ってやりたい…

重傷を負った自分を案じるハンジにリヴァイは、「このまま逃げ隠れて何が残る」と返し(ハンジのアレが聞こえていたのだ!)、搬送用の荷台を指さします。それはつまり、ハンジがリヴァイを渦中に引きずっていくためのもの。結局、「蚊帳の外で大人しくできるハズがねぇ…」わけです2人とも。「できない…」と呟くハンジさんの目がイイ。

2 手を結ぶ

「ジークを殺す」という目的において利害が一致する、とマガトたちに交渉をもちかけるリヴァイ&ハンジ。リヴァイは動けない身体を敢えてマガトの銃口にさらし、ハンジはジークは王家の血を利用するため始祖の巨人に取り込まれている、と推測してみせる(それにしてもピークちゃん「巨人博士」とはパラディの内情に詳しすぎw)。

となるとマガトたち説得のカギは、「ジークを始祖から切り離して殺せば、始祖の地ならしを止められる」という希望でしょうか。マガトたちにとってジークは確かに裏切者ですが、彼らにとってはまず地ならしを何とかするのが最大かつ緊急の課題なので、裏切者を始末できる、というだけでは弱いですから…しかし、地ならしを止めることはパラディにとっては致命的なので、パラディの人間であるハンジたちがそういう話を持ち掛けてきたことに対してマガトたちも疑問を抱くはず。ここはどうやって話をまとめたのか、気になるところ。あと、リヴァイの「俺の目的は…ジークを殺すことだ…」が文字通りそれだけなのか。たぶんそういうわけでもなくて、いろいろ複雑な思いが絡み合ってると思う(思いたい)けど…確信は持てない。

3 それぞれの夜

壁巨人は行進続行中。月夜でも問題ないようです。

ベッドの隅でうずくまって頭を抱えてるジャン、眠れぬまま横たわっているミカサ。ヒッチはずっとアニを送って来たらしく、一緒に宿を取ってます(ここではこのカットが一番ビックリしたw)。お供えには手を付けず、眠り続けるライナー。アルミンとガビは夜も馬で進みますが、コニーとファルコは野宿。予想どおり良心の呵責に苦しむコニー。ガビは今でも乗馬はあまり得意ではないようです。

4 ラガコ村

 コニーの表情がもう…特にファルコ見せた怪しすぎる作り笑いとか、辛くて気持ち悪くて…そして「はい」と気圧されて言ってしまうファルコが良い子過ぎる…

言葉ではなく、行動。アルミンの自己犠牲的(内心では死にたい消えたい自分じゃない、捨て鉢な気持ちもあったろうけど)行動が、コニーの憑き物を落とした。もしかすると自分自身のも。

 5 マフラー返して

負傷したルイーゼの元へ現れたミカサ。前の晩ベッドに横たわっているとき、ハッとしたような表情を見せたのは、なくなったマフラーをルイーゼが持ち出したのではないかと気づいたためだったようです。

しかしこの二人、ディスコミュニケーションの極致というか、ミカサはもう助かりそうにないルイーゼに対して昔のミカサみたいな塩対応だし(複雑な思いはありそうですが)、ルイーゼはルイーゼでそれを全く意に介さず、自分の想いを述べる。これが永の別れだったら、淋しすぎる…それもまた人間関係のありがちな形ではあるのでしょうが。

それにしてもエレンがルイーゼとマフラーのことを話していたとは意外。どんな言い方してたんだろう。そして、一度は離したマフラーを、ミカサはどうするのか?今度は本当に捨てるときが来るのか?それともエレンがまた巻いてやることがあるのか?

6 イェーガー派に乾杯!

シガンシナを巨人の最後尾が通り過ぎようとしている頃。イェーガー派の「我々は自由だ!」宣言に街は浮かれる。得意絶頂で演説をかますフロックの後ろには虚ろな目をしたジャンがいた。対照的に、お前もイェーガー派に加わるのかと水を向けられても「興味はない」と素っ気ないミカサ。

街では人々が祝杯を交わす中、ラガコ村から戻ってきたアルミン一行も腹ごしらえ。アルミンが以前言っていたように、ライナーを引き込むつもりのようです。食事しながら復活したかもしれないアニの話題を持ち出すと、隣のフードの人が噴き出して……まさかこんな再会の仕方をするとは思いませんでしたよ…口いっぱいのパイに笑った。そして残された手紙とヒッチにしんみり。

ここも、アルミンが一刻も早く父の元に帰りたいはずのアニをどう説得したのかは疑問が残る。

7 オニャンコポン危機一髪!

公開処刑の場に引き出されるイェレナとオニャンコポン。

罪状は、イェレナは安楽死計画の推進者、オニャンコポンは計画を知らずエルディアのために働いたが、エルディア帝国に従って生きるくらいなら死を選ぶと言ったため。翻意を促すフロックの言葉を遮り、イェーガー派や取り巻く群衆を糾弾し、涙を浮かべて訴えるオニャンコポン。

「黙ってないで何とか言えよ!ジャン!」という叫びに応えたのは4発の銃声。しかし至近距離から撃たれた弾丸はオニャンコポンではなく足元の床へ。戸惑うフロック。

そこに何と、車力の巨人が乱入。フロックを突き飛ばしたジャンと、処刑寸前の2人を丸ごと喰って逃亡する車力。同じ頃、アルミンとミカサらは大量の武器食料と共に、砦を脱出していた。

お約束とはいえ、ジャンがビシビシと床を撃つシーン、アルミンたちが脱出するシーンは嬉しかった。そしてそれを見送る人影はこの先が案じられて辛い…どうぞご無事で、教官

車力逃走時のフロックの「ミカサはどこだ!?」はちょっと笑えた。そういう、ここぞというところでアタフタした感じになるのが、フロックらしいというか。あと、イェーガー派が今更「装備だ!」とか叫んでいるのも、いかにも戦闘慣れしてない感じで、イェーガー派の脆弱さを感じさせます。

8 脱出

3人を奪取した車力の行先は巨大樹の森近く、ハンジたちの待つ川辺。ジャンは昨晩彼らと手を組むことにしたのだという。安全を捨てて自分を救ったジャンに涙ぐむオニャンコポンと照れるジャン。しかし、なぜ自分まで?イェレナの疑問にハンジの言葉とマガトの視線が答える。イェレナを引き渡すことがマガトの条件だったのだ。

ジャンとオニャンコポン…心が洗われたよ。存分に体を洗ってください。

今回のジャンの行動の根底にはマルコがいる。先に斃れた兵士の死に意味を与える、というのはこの物語で繰り返されるモチーフだったし、フロックらイェーガー派にもそういう思いで行動している者は少なくないだろう。同じパラディ兵士でありながら真逆の行動になったのは、ジャンが個人の信義を、人類よりも人を、重んじたから。マルコの死が、人類を守る大義を振りかざし、同期の信頼を裏切ったマーレ戦士たちによるものだったことを思うと、感慨深いものがある。

イェレナはジークや王家と始祖の接触に関する情報をある程度持っているでしょうから、マガトもすぐには殺さず情報を引き出そうとするでしょう。イェレナもすっかり気力を失っているとはいえ、「ジーク殺し隊」に素直に情報提供するとも思えないけど…そして、「歯磨きとかしないの?」というハンジさん…やっぱハンジさんだ!「失礼ですよ、女性に対して」というピークの返しもなかなか。私は白夜でのミカサ抱きしめ以降、ハンジさんは女性だとずっと思っているのですが、女性→女性でこういう言い方あまりしないよなー。もしかしてマーレの調査ファイルでも「ハンジ・ゾエ 性別:ハンジ」になってるのか?

9 役者が揃った!

蹴りを入れられて目覚めたライナーの眼前に、恐るべき光景が…(笑)荷馬車で脱出したアルミンらが、迎えに来たのだ。世界を救いに。ライナーの目がよわよわしくて可哀想w

ラストは別のマンガかと思いましたよ…何かまた1,2回ひっくり返りそうで怖い。

 

10 というわけで

前号ではバラバラに動いていたリヴァイ・ハンジとマガト・ピーク、そして104期がすべて繋がったことになります。ジャンが計画に加わったのが昨晩ということですから、聞かされたのは一番最後、おそらくミカサから持ち掛けられたのでしょう。ミカサはたぶんひそかに砦に戻ったアルミンから。しかしアルミンがどうやって大人組と接触し、計画を練ったのかは今号ではちょっとわからない…次号くらいで種明かしして欲しいですが。

そして「世界を救いに」という言葉が何を意味するのか。

イェーガー派やパラディの群衆の姿を見れば、これじゃアカンということはよくわかる。しかし地ならしを止めた後、パラディはどうなるのか?ライナーやガビたちマーレの人間はいいとして、パラディ人のリヴァイ・ハンジや104期たちはそれでいいのか?今号ではその辺の心情は明らかになっていませんが、前号ではパラディ以外の世界が滅亡する前提で動いていたアルミンが、今回ではマーレと手を組み、ラストでは「世界を救う」方向に舵を切っているので、何らかの新しい要素が出て来て考えを改めたのだと考えられます。たぶんハンジさんたちと接触して話し合ううちに、「パラディも含めた世界」を救う起死回生の策が閃いた…のだと信じたい。今回は行動に至る思考・心理面の描写は少なかったと思うので、この辺りは次以降に期待。

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