『進撃の巨人』(諌山創/別冊少年マガジン)第132話「自由の翼」全然まとまらないネタバレ感想

ついに、来てしまった…いつ来てもおかしくないと覚悟していたはずなのに、次ではないだろう、もう1,2話先なんじゃないか…とか、ね…

 

年長者が身を挺して若者たちの前途を切り拓き、「後は任せた」の王道、短いやり取りに万感のこもるリヴァイとの別れ、火だるまになりながら巨人に立ち向かう戦闘の激しさ、そして役目を果たし、懐かしい仲間との再会…進撃らしからぬ美しい最期に違和感さえ覚えるほどなのですが、ハンジさんならこうだよね、ということばかりでした。

リヴァイとかリヴァハンとかフロックとかについてはもっと落ち着いてから書きたいと思います。リヴァハンの曰く言い難い絶妙な間柄についてはホント言葉に詰まる…

 

 

 

1「車力の巨人の背中に乗ってその体温を(略)」

言い終わらないうちにフラれる。ここスゲー好き♡ピークちゃんちょっと冷たい…もしかして歯磨きの「女性に対して失礼ですよ」といい、ハンジさんのこと男だと思っている?

 

2「今日はダメでも いつの日か…」

フロックの正しさを認めながらも、自分の信念は曲げない。このセリフのときの鋭い眼光に秘められた激しさ。人によっては、狂気と言うのかもしれない。少なくとも、お花畑なんていう平和なものではない。

 

3「調査兵団団長に求められる資質は理解することをあきらめない姿勢にある」

白夜のとき、「エルヴィンの経験と統率力が」と言ったハンジさんがアルミンにこう告げたとき、調査兵団の本質が回復されたと言えるのかもしれない。危険で有害で、むしろなくなって欲しいと思われている「外」に飛び込んでいくその姿勢が。少なくともエルヴィンの再来のような能力があるから、業績をあげられそうだから、というのではなく、アルミンの姿勢そのものを肯定し評価したことで、アルミンはきっと救われる、今すぐにではなくとも光明を見い出せると思う(レベリオ襲撃のとき「エルヴィンの亡霊に取り憑かれたかい?」と冷やかし気味に褒めて、アルミンも満更でもなさそうにいしてたのと対照的だ)。「理解する能力が高い」ではなく「理解することをあきらめない」であることもポイント。どんなに優れていても、人間の理解力などタカが知れている。だからこそ時間と労力をかけ、挫折しても再び挑む諦めの悪さが必要なのだ。まあアルミンは、弱い(ところもある)けど根性あるからね。

 

4「心臓を 捧げよ」

104期に対して軽口叩いて背を向け、リヴァイに対しても口では軽く「最高にかっこつけたい気分」と言いながら、恐怖と緊張で冷や汗かきまくり白目剥きそうなくらいで決してカッコよくはない……しかしリヴァイがこれまで決して言わなかったあの言葉と胸ドン!を貰ったときの瞳に輝き。きゅっと引き結ばれた口元。そしてまた軽口に戻りつつもうアンカー飛ばしてる…この(多分に虚勢も混じってる)軽妙な強さと人間らしい弱さの振幅が、何とも言えず好き。初めて聞いた、ってすぐ出て来るのは、そのことを気にかけてたんだろうな…

 

5「やっぱり巨人て素晴らしいな」

ハンジさんてやっぱりまずは科学者なんだなとしみじみ。巨人の驚異への感嘆や探求心がまず先に立ち、でも自分の手でも多くの巨人を殺してきたし、巨人を効率的に殺戮する兵器も開発したし、自らそれで戦いもする。団長としての枷を外され、自由の翼を背負った一人の調査兵として、仲間のために驚異の存在と戦う…やっぱり最高にカッコ良かったよ…

 

6夢か、現か

そして問題のラスト。普通に考えれば死んだ仲間たちが総出で登場してねぎらいの言葉をかけてくれる…なんてことがおこるはずはなく、ハンジの願望交じりの夢想、死を前にした走馬灯、ということになりそうです。しかし、時系列でみるとこれがちょっとおかしい。

高さ40~50mのところから、しかも火達磨になって落下したわけですから地上に到達した時点でまず間違いなく死んでるし、生きていたとしても後続の巨人たちに即踏み潰されてます。これが、飛行艇が離陸するのとほぼ同時。

 そしてハンジが足跡のくぼみで大の字になってるシーンは、飛行艇が飛び立ち、アズマビトの輸送艦も離岸して沖へ向かうシーンからさらに1コマの空白を置いた後なので、ハンジは既に死亡していて妄想とか走馬灯とか思い浮かべられる状態にはない。

じゃああれは何かって言うと、やっぱり本当に死者たちが迎えに来たってことなんじゃないかな…と思うわけです。

127話「終末の夜」のジャンとミカサがハンジに呼び出されるシーンを見ると、本当に旧調査兵たちの姿が見えていたようだし。原理はよくわかりませんが、「道」を通じて現実世界に顕現することが可能だとすれば、新たな死者を迎え入れるため、彼らの方から現実世界に現れることも不可能ではないでしょう。

基本的に私は、「死者が見ている」「死者に恥じないように」というのはあくまで内面化された自分自身の規範の鏡としての死者であるべき、という気持ちがあるのでハンジの心象、と解釈する方がむしろ受け入れやすいはずなんだけど、時系列的な問題や、まだよく仕組みのわからない「道」、いわくありげな鳥の描写なども相まって、今のところ「あれは現実だった」説をとりたいと思います。あとやっぱ、ハンジさんの苦悩と頑張りは、仲間たちに認めて欲しいという気持ちがあるしね…

 

7その他もろもろ

・ミカサのビックリ寄り目「いつの間に…?」が可愛かった(アルミンに「そんな子に育てた覚えはない」とか言い出さなくて良かったw)

・なぜイェレナはジークの正しさを認めてくださいと頼んだんだろう…居丈高とか冷笑的にというのではなく真剣に頼んでいた。それに何の意味があるのか、どういう心理なのか…イェレナの考えることは本当にわからん…

・包帯の面積が減り、突然スイッチが入ったかの如く喋り、立ち、歩き出したリヴァイ。そうしたらやっぱりリヴァイだったのですごく安心した。しかしまだ歩くのもブレードを握るのも覚束ない様子…彼の役割はまだ残っているはずだけど、これまでとは違うものになるのだろう。でももう一度、立体機動で戦うシーンを見たい…(ミーハーの正直な気持ち)

・離脱を申し出たアニに対する皆それぞれの反応が良かった。特に初めて謝罪したライナー(とそれに対するアニの返答がまたw)、「十分戦ったよ」と理解を見せるコニー。みんな大人になったなあ…

 ・燃料タンクに穴を開けられ、自分も肩を撃たれてるのに「塞げばなんとかなる…」と希望を捨てない名無し技術者、ひとりで石炭投入作業を続けるキヨミ様…アズマビトらのカッコ良さよ。

 ・助け起こす役はモブリットなのね ♪

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