旧古河庭園の秋バラ

すっきり晴れた昨日は、前々からちょっと気になっていた旧古河(ふるかわ)庭園の秋バラを観に行ってきました。

 

秋バラフェス開催中。左のご老人はこの地にゆかりの深い渋沢栄一であるらしい。

 

 

旧古河邸前に広がるバラ園は、

思ったよりコンパクトな感じだな~と思ったのですが…

 

邸内に入ってみてわかった(見学料400円也)。

 

このバラ園は、中を歩き回って楽しむのと同等以上に、邸内から楽しむように作られているのだ。食事やお茶しながらガラス越しに眺めて楽しみ、気が向けば窓を開けて香りをかぐことも、中から見て気に入った花があったら、外におりて触れることもすぐできる。

 

2階から見下ろせば、階段下の幾何学的な植込みの中のバラはすごく映えるはず。

 

 

邸内は写真不可なのが残念ですがあれですね、もう、大正浪漫『琥珀色の遺言』(藤堂龍之介シリーズ)の世界です。明るく華やかな部分と重厚で秘密めいた部分が混在する、レトロモダンな雰囲気。どっしりした造り付けの本棚、下段の木の扉にも上段のガラス扉にも2つ鍵穴がついてる厳重さとか、たまらない ♪

 

庭に面した窓辺からはバラ園が美しい。窓ガラスの一部は当時のものが残っていて、外がすこし潤んで見えるのが、なんとも言えない風情がある。

 

大食堂の一部やテラスは喫茶スペースになっています。満席だったので寄りませんでしたが、テラスでお茶しながらゆったりバラを愛でる…というのが一番の過ごし方なのかもしれません。バラの時期はいつ行っても混んでそうだけど…

 

2Fでは、邸の設計者ジョサイア・コンドルのと、鎌倉殿の13人にあやかってか、義経浮世絵の小展示をやっていました(展示室以外は立入不可)。

ジョサイア・コンドルは明治初期に25歳の若さで来日したイギリス人建築家。所謂お雇い外国人で、鹿鳴館などの設計を手掛けた人です。日本文化にも造詣が深く、河鍋暁斎に師事してたんですと。旧古河邸は最晩年、民間人建築家として手掛けたものだそうで、邸や庭園に和洋が調和した感じがあるのも、日本で暮らした長い年月が影響しているのかも。

浮世絵の方は、邸の管理者である(公財)大谷美術館の発案者・故大谷米太郎のコレクション。大谷米太郎はホテルニューオータニなどで有名な実業家だけど、旧古河邸との関係は複雑そうで、説明文をまとめると、戦後の財閥解体の際に古河財閥から売却の話があったが実現せず国有化され、長期にわたり放置・荒廃状態にあったのを、米太郎氏の死後、大谷美術館が東京都の助成を得て修復した、という流れ。事業が成ったのは死後だけどおそらく、一度話のあった古河邸の荒廃を気にかけ、修復計画を主導したのは米太郎氏だったのでしょう。

 

2Fの他の部分はガイドツアーでなら見学できるそうなので、また機会があったら参加してみたいな(事前申し込みが必要だし、今はやってないみたい)。

 

庭に張り出したサンルームは入室はできなくて、外からの方がかえって見やすい部分があるようなので、もう一度外へ。庭に面した扉もついていて、直接庭におりられるようになっています。いいなあ…

 

外から室内を撮影。格子柄の床、落ち着いたグリーンの壁。邸内見学のときは角度の関係で見えなかった小噴水が外からはバッチリ見えます。

紳士方が葉巻をくゆらす喫煙室として使われていたそうです。うーむ死体が転がってないのがむしろ不思議な雰囲気。

 

バラの似合う邸でありました。

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