ハムレット殺人事件(芦原すなお/東京創元社)

私立探偵・山浦歩は学生時代に想いを寄せていた友人・夏日薫の夢を頻繁に見るようになる。かつて歩を演劇サークルに引き込んだ女優であり演出家であり、プロデューサーでもあった美少女。留学すると言って歩の前から姿を消した彼女は、今は大女優となっている。夢の中の彼女は、歩に何かを頼もうとしている…久しぶりに彼女の舞台『ハムレット』を観に行こうと考える歩だったが、それは叶わなかった。

夏日薫の大邸宅で最終リハーサル中の『ハムレット』主要出演者たちが他殺体となって発見されたのだ。しかも見立て殺人のように、各出演者が自分が演じる登場人物の死様と似た状況で死んでいたのだという。一体何があったのか!?

歩は夢の中の薫の願いに応えるため、女探偵笹野里子とタッグを組んで、事件の真相究明に乗り出す…

 

ハムレット、出演者同士の殺し合い、見立て殺人、などの強烈に美味しそうな惹句に吸い寄せられて買いましたが、相当に後悔させられた一冊。

登場人物のコメディ調の会話が滑りまくってて好きになれない(特に女探偵笹野が、彼女に惚れ込んでいる遠藤警部に対する酷い態度とか笑えない…)。私立探偵が現場検証できたり関係者に訊き込みできたりするのも、それがなけりゃ話が進まないので仕方ないのだけれど、それが可能になる経緯がふざけてる。

54歳の主人公・歩(ふーちゃん)にしても、この年でふわふわしすぎだろ(せいぜい20代後半~30代前半くらいに見える)…と思うけど、それとも人生100年時代だからこれでいいのか!?

解決篇に至っては…まさにスラップスティックコメディというかなんというか…人ひとりの生命とか、社会人として生きてる重みとかのまあ、軽いこと軽いこと。ハムレットの蘊蓄を入れ込んだコミカルファンタジーと考えればいいんですかね。そういうのもあっていいんだけど、創元クライムクラブで出すのはやめてほしかった…

 

スポンサーリンク