映画『翔んで埼玉』を観てしまった…

数年前に魔夜峰央の原作が本屋に並んだときには手に取らなかったのですが、1970年代の少女漫画のような宣伝ポスターを見るとやっぱり気になって、久しぶりに映画館へ。

 

埼玉県民が東京都民から酷い差別を受けていた時代。埼玉県民は東京とは隔絶した貧しい生活を送っていた。東京に入るのにさえ通行手形が必要とされ、不所持で東京に侵入した者はSAT(サイタマ・アタック・チーム)による「埼玉狩り」で捕らえられ、埼玉に強制送還されてしまう。ああ、快楽の街で今夜も犠牲者が…

ところ変わって東京都知事への近道とされる超名門校・白鵬堂学院。東京都知事の息子で生徒会長を務める壇ノ浦百美(なぜか金髪おかっぱの美少年)の前に、アメリカ帰りの謎の転校生・麻実麗(こっちは長い黒髪で片目を隠した美青年)が現れる。自分の権威を認めない麗に苛立つ百美は、全校生徒の前で麗に恥をかかせようと画策するが、逆に頑ななプライドを打ち砕かれ、麗に強く惹かれるようになる。しかし彼は、ある目的のために学院に送りこまれた隠れ埼玉県人だった!!惹かれ合う2人の、そして虐げられた埼玉の運命は…!?

圧倒的な力を持つ東京からの抑圧への抵抗、永遠のライバル・千葉との抗争、更には人外魔境とされる群馬まで巻き込んで、事態は意外な(というか予想通りの)方向に進んでいく…

とにかく宣伝通りの作品なので、SAT(サイタマ・アタック・チーム)による埼玉狩りだの東京テイスティング(東京の各地の空気を嗅いでどこの地域のものか当てるゲーム)だの、魔夜峰央らしい真面目くさった大仰なギャグにぎゃははと笑いつつ、麗(GACKT)とか伝説の埼玉県人・埼玉デューク(京本政樹)とか裏の顔を持つ執事・阿久津翔(伊勢谷友介)とか、「け、結構格好いいじゃん…」と心の片隅で思ったりする。唯一予想外だったのは、あっさりと麗との恋に落ちる百美は、ポスター見たときにはバレバレの男装の麗人かと思ったのに、本物の美少年だった…さすが魔夜峰央(汗)

 

さて、上記のメインストーリーは、娘の結納のために熊谷から車で東京の結納会場へ向かう一家が道すがら聴いているラジオ番組で語られる都市伝説、という入れ子構造の物語になっており、熊谷出身の父、千葉出身の母、結婚して埼玉を脱出し東京に新居を持のつのが夢、という娘がストーリーの節目で三者三様の感想を述べたり、お互いに口論になったりもします。それ自体はありがちな感想だったりご当地論争だったりするのですが、ラスト近くになると、これもまた壮大極まりない計画の一部であったことがわかる。正直、現代パートの面白さは伝説パートほどではないのですが、なるほどこのためかと納得。この部分にしても千葉との抗争にしても、30年前に未完で終わった原作にはない設定のようですが、これによって綺麗にオチのついた作品になっています。

 

 

郷土愛とか難しいことは考えず、ギャグ映画として楽しめる映画。特に埼玉県民、そしておそらく千葉県民には。もちろん観なくても何ら問題ない下らない作品ともいえる。

ただ、そうだな…私が埼玉に住んでいるのは、東北出身の両親が新居を構えたのが埼玉だったからなのですが、そういえばどうして埼玉にしたのかを今度会ったら聞いてみたい気持ちになったのでした。

 あと、野生のシラコバト(県の鳥)も一度は生で見てみたいな。

 

【参考】映画公式ホームページ

 

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