雨のシーズンも間近。行ける日はできるだけ出歩こう、というわけで見沼自然観察公園へ。
見沼自然公園はどの駅からも遠いので、バスか自転車ということになる。最近あまり自転車に乗ってないので、安全重視で今日はバス。平日昼間に郊外へ向かう乗客は少なく、ホッとする。
街中を出て見沼田んぼに近づくと、コロナ対策で開け放った窓から初夏の空気が流れ込んできた。土と緑の香りが。
冬場はあれほど賑やかだった水面には水鳥の影ひとつない。渡りのカモたちはもちろん、カルガモやサギたち、カイツブリやバンなどの留鳥たちの姿も留守なのか見当たらなかった。どこかの茂みの蔭から、ウシガエルのぶもーぶもーというバス音だけが響く。
池が静かになってしまったせいもあるのか、人間の姿もまばら。
スイレンの季節。紅白どちらもあるけど、紅い方が多い。白幡沼や別所沼のは白だけだから、近場で紅が見られるのは私の知る限りここだけだ。
同じ赤でも濃淡に差があるように見えるのは実際に色が違うのか、それとも光の加減だろうか。
完璧…
池を一周。草が元気良すぎて近づけない場所もあちこちに。
シオカラトンボ（オス）
鮮やかなオレンジ色のせいか、ぱっと見大きく見えて、知らないチョウかもと思ったけど、よくよく花との対比を見れば、ちいさな
ベニシジミさん。
ありふれたチョウで見過ごしてたけど、表（背中側）のくっきりとしたオレンジと黒のコントラストが美しい。これは幼虫で越冬した「春型」で、この子たちから産まれる「夏型」は黒味が増して鮮やかさが薄れてしまうようです。
枯葉っぽいですが止まったところをよく見ると、目玉がいっぱい！調べてみるとサトキマダラヒカゲらしい。樹液を好み、竹藪や林でよく見られるそうですが、初めて見た！おもしれー模様。
くっ…飛んでるとこを撮ったら鬼太郎のちゃんちゃんこ（あれは黄色と黒だけど）みたくなってしまったミスジチョウ
初めて意識してカツラを見たとき『イティハーサ』（水樹和桂）の桂さんを真っ先に思い出したし、今も見るたび思い出す。美しい人、美しい樹。
公園を出て、見沼代用水沿いに向かう。
見沼たんぼは田植えの季節。
んん？
見沼代用水東縁。対岸の樹々は緑濃く、春先は可憐な花々でにぎわっていた路傍では夏草が急成長。
と思ったら向こう岸に可憐な花（背はかなり高いが）。調べた限り、コウゾリナだと思うんだけど…
おお！カタツムリさん…！これまで見たことが多い奴ら（たぶんミスジマイマイ）よりずっと小さくて殻が尖り気味なのでニッポンマイマイだと思うんだけど、自信なし。
あちこちでクワの木が実をつけている。薄緑から赤、熟した黒へと移り変わっていく色合いが楽しい。
あれ？実がなるということは花も咲いてるはずだけど、そういえば見た覚えないぞ。と思って検索すると、確かに見落としがちな地味さ。花期は３～４月とのことなので、来年はもっと注意してみよう。
すっかり緑の桜並木の中、見上げるとこの樹には黒いぽちぽちがたくさん。
桜並木の大半を占めるソメイヨシノは基本的には実をつけない（クローンなので自家不和合性によりソメイヨシノ同士では正常に受粉・種子形成ができないのだという。他種の花粉は受粉可能なので、まったく結実しないわけではない）。するとこれは、ソメイヨシノにまぎれてぽつぽつあった純白の桜、オオシマザクラだろうか。
オオシマザクラも桜の一種なわけだから自家不和合性はあるはずだし、周囲のほとんどはソメイヨシノ、オオシマザクラは１０本に１本もない感じだったから、オオシマザクラの蜜を特別に好むチョウとかハチとかでもいない限り、オオシマザクラ同士だけで上手いこと受粉してこんなにたくさん実がなる確率は低そう…ということは、この実の大半はソメイヨシノから受粉したものなのか？オオシマザクラの実は食べられるそうだけど、オオシマザクラ同士の実と、別種と交配した実とは、味が違ったりするんだろうか？（と言いつつ食べてみる勇気はない）
用水沿いを離れ、帰りのバス停へ。
喰われず生き残り、成長した
バス停脇のやぶに、アカボシゴマダラの春型。
翅の縁に並ぶ赤い星がある夏型はよく見かけるけど、春型を見たのは初めてのような気がする。夏型の方が目立ちますが、春型もシンプルな配色、くっきりした細い黒のラインがスマートでさわやか。
今日はあちこちでカラスさんたちがいつもにも増して落ち着きなくウロウロバサバサギャーギャーしてたっけ。やっぱり子育て時期だからかな。
久しぶりに来ると、新しい発見がいろいろあって嬉しいのと同時に、着実に進んでいく季節の中で見逃してしまったものの多さも何となく感じる。毎日散歩に来れるぐらい近かったらなあ…近いうちにまた来るよ！
