銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件(アンドリュー・カウフマン/東京創元社)

銀行強盗が奪っていったのは、その場にいた13人それぞれの、「今持っているものの中で一番思い入れのある物」。母からもらった腕時計、息子たちの写真、突き返された婚約指輪、昇進直後の給与明細etc。そして「僕」の妻・ステイシーもその場に居合わせ、電卓を差し出した。

首尾よく獲物を手に入れた強盗は、これによってあなた方の魂の51%を持ち去るのだ、と言って姿を消す。

その当日から、13人の身に不可思議な事件がおこり始める。

心臓が飛び出す、老母が細かく分裂し始める、ライオンのタトゥーが実体化する、神と遭遇し、見失う…そしてステイシーは少しずつ背が縮み始めるという事態だった。

 

「僕」とステイシーは高校時代からの付き合いで結婚7年目、息子が一人いるが育児と日々の生活に疲れ、二人の間はぎくしゃくしている。他の強盗被害者たちも恋愛や家庭、職場などで何かしら傷を負っていたり、問題を抱えていて、事件をきっかけに自分の魂と向き合い乗り越えた者もいれば、破滅に至る者もいる。

この展開からすれば、寓意的なファンタジーなのだが、破滅に至るエピソードも不気味でありながらそこはかとないユーモアや美しい諦観も感じさせ、単なる教訓話からはほど遠いものになっている。グッドエンドなのかバッドエンドなのか測りがたいエピソードもあるし。

銀行強盗はなぜステイシーの兄に激似なのか、それぞれが差し出した物が何を象徴しているのか、それぞれの結末が何を意味しているのか、いろいろ仮説は浮かんでくるけど、その一方で、あまりこれはこう、とカチッと当てはめてしまうと物語の軽やかさが損なわれてしまう感じがして難しい。

でも、サンドラ・モリソン、グレイス・ゲーンズフィールド、ダイアン・ワグナーの3人が列の何番目に並んでたのか、サンドラとダイアンが差し出したものが何だったのかは知りたいな~見落としかもしれないけど、再読してもこれはわからんかったのよね…気になる。

 

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