2021年4月~6月読書覚え書き(英語)

英語多読で読んできた本のまとめです。合計で68万語あまり。ただし語数は概算ですし計算が間違っている可能性もありますので、正しい数値が必要な場合はご自身でご確認ください。

 

 ① The Labours of Hercules(91千語)【邦題『ヘラクレスの冒険』/アガサ・クリスティ】

エルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)ものの連作短編集。Herculeの名前の元ネタであるギリシア神話の英雄ヘラクレスが課された12の難業。探偵業引退を決意したポワロは、有終の美を飾るため、現代における「ヘラクレスの12の難業」に相応しい12の事件を自ら選び、最後の仕事として解決に乗り出すことにした…

ギリシャ神話ネタといっても、関連は象徴的なもので、事件には超自然的要素はありません。展開は短編に収める都合からか、ちょっとアクロバティックというか無理がある部分もありますが、そこも含めて現代のおとぎ話という感じで楽しい。

英語としては、毒物とか司法手続関連で見慣れない単語が出てきますが、文章としては比較的読みやすいと思います。かなりのボリュームだけど短編集なので英語学習者としては小刻みにゴールがある感じで有難い。

 

②The Book of Three(46千語)【邦題『タランと角の王』/ロイド・アリグザンダー】

プリデイン物語全5巻の第1巻。ケルト神話をモチーフにしたファンタジー。プリデインを舞台にした善と悪の戦いの中で、英雄に憧れる向こう見ずな少年・豚飼育補佐タランの成長を描く。シリアスとちょっとアイロニックなユーモアのバランス、そして生き生きとしたキャラクターがよい。英雄ギディオン王子、口から生まれてきたような少女エイロヌイ、知恵は回らないが心の奥底に誠を秘めた獣人ガーギ、勇敢で一本気なほら吹き王フルダー・フラム、陰気で口の悪いツンデレ小人ドーリなど…予言豚ヘン・ウェンも可愛い。

剣と魔法の時代のファンタジーなので知らない単語も出てきますが、文章自体はそんなに難しくなく、辞書なしでも何とかいけました。

  

➂Martin Pippin in the Apple Orchard(101千語)【邦題『リンゴ畑のマーティン・ピピン』/エリナー・ファージョン】

麗しのギリアンに焦がれるロビン・ルー。彼の恋をたすけるため、頑なな牢番、六人の美しい乳しぼり娘たちを味方につけようと、毎夜恋物語を話して聞かせる吟遊詩人マーティン・ピピン。という大枠の中で、六つの恋物語が語られる入れ子構造になっています。児童書ということになっているけど、大人の方がわかるんじゃないかと思わせる、痛みの色濃い恋物語集。そもそもこの作品は、元々は子どものためのものではなく、第一次世界大戦で兵士として戦場にある友人をなぐさめるために書き送ったものだそうで、さもありなん。

古風な言い回しが多く、当時のサセックス地方の自然や生活習慣が多く出てくるのでそのたび辞書引くだけじゃ足りず、ググって調べないと今ひとつ状況がつかめなかったりしてむずかしい。ボリュームも相当だし、この8冊の中でいちばんしんどかった…にもかかわらず捨てがたい、きらめくような美しさをたたえた物語です。もっと修業をしてから再挑戦してみたい。

  

④Daddy-Long-Legs(36千語)【邦題『あしながおじさん』/ジーン・ウェブスター】

謎の支援者Daddy-Long-Legs(メクラグモ)の援助を受けて大学進学した施設育ちの少女ジュディが、自分の大学生活を手紙で報告する、という設定。授業や休暇、作家を目指した執筆活動など、20世紀初頭のアメリカ女子大生の姿が活き活きと、辛辣だが爽やかなユーモアたっぷりに描き出されてます。

大学生が後見人に学生生活をご報告する手紙、というだけあって、結構難しい言葉が出てきます。ジュディがとってる科目の専門用語が登場したり、突然ラテン語やフランス語になったりすることも(ラテン語フランス語はトバしました)。

 

⑤Beyond the Boudary Stones(133千語)

⑥The Wizard War(237千語)

 こちらについては ↓ の記事で。

www.ashi-tano.net

 

⑦Jennifer, Hecate, Macbeth, William McKinley, and Me, Elizabeth(23千語)【邦題『魔女ジェニファと私』/E.L. カニグズバーグ)】

転校してきたばかりで周囲となじめない少女エリザベスが、魔女を自称する風変わりな同級生ジェニファと出会い、魔女見習いとなるのだが……孤独な少女同士の奇妙な交流は、大人の目で読むと危うくていつ破綻するかとハラハラする。ジェニファの視点で見たら、この物語はどういうものだったのだろうと思うとちょっと胸が痛い。ちゃんと前向きなラストなのでそこは安心していられますが。英語としてはエリザベスの一人称なので割とスラスラ読めます。

 

 The Happy Prince And Other Tales(16千語)【邦題『幸福の王子』ほか/オスカー・ワイルド】

平易で読みやすい、にもかかわらず非常に美しい文章で描かれています。おとぎ話らしい鮮やかで活き活きとした描写の中に、きっついアイロニーと痛切な悲しみを湛えた童話集。表題作のほか、The Nightingale and the Rose , The Selfish Giant . The Devoted Friend ,The Remarkable Rocket の4編。 

 

 

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