『化物語(バケモノガタリ)』(原作:西尾維新 漫画:大暮維人/講談社)

週刊少年マガジン連載中のファンタジー(美少女憑き物落とし)漫画です。いや~久しぶりにマガジンを手に取ったら、話はともかく絵があまりに(いい意味で)浮いて目立っていたので吸い寄せられてしまった…大暮維人の圧倒的な画力(女の子の可愛さ&アクションシーンの迫力)と独特の面白会話(これはおそらく西尾維新の原作由来なのでしょう。他作品も含めて読んだことないけど。)が魅力。小説のコミカライズはあまり読まないのですが、これはアタリだった♪私と同じく『天上天下』好きだったけど話についていけなくて挫折した人におススメしたい(笑)

【あらすじ】

阿良々木暦(あららぎ・こよみ)は平凡至極に見える高校生。しかし彼にはつい最近、吸血鬼となってしまったという、まさかの過去があった。通りすがりのお祓い屋・忍野の助力で人間に戻った彼は、様々な怪異を裡に抱える少女たちと出会い、解放していく… 最初の事件は、見た目は深窓令嬢タイプながら冷静な毒舌を誇る戦場ヶ原ひたぎの「おもし蟹」。続いて言語能力がおかしな方向に発達した小学生・八九寺真宵(はちくじ・まよい)の「蝸牛の迷子」、そして戦場ヶ原ひたぎの中学からの後輩で、ひたぎを異常なまでに慕うバスケ部のスター神原駿河(かんばる・するが)の「猿の手」と続く。(コミックス4巻現在) それぞれが家族問題など、怪異に惹きつけられる心の歪みを抱えており、阿良々木や忍野、既に解決済みの事件メンバーに助けられながら本人が自分の心と向き合うことによって解放される、というのが基本的な枠組みであるが、主人公阿良々木とヒロイン戦場ヶ原ひたぎの関係の進展が物語の縦糸になっていく…のかもしれない、たぶん。

ちなみに、物語開始の時点で阿良々木はわずかに超人的能力を残してはいるものの人間に戻っているし、委員長・羽川翼(はねかわつばさ)の事件も既に解決済みとなっているが、その時の経緯は今のところ断片的な回想シーンや登場人物の台詞で語られているのみ。こちらも作中で明らかにされることがあるのか、今後に期待。

【みどころ】

出てくる女の子がとにかく皆可愛い過ぎて困る(まあ中身は危険物揃いですが…)。『天上天下』のときも好きな絵だったけど、久しぶりに見たらますます繊細に、研ぎ澄まされてきた感がある。 特殊能力を持った主人公が次々と怪異に出会っては解決していく…という枠組みや、お祓いの原理は珍しいものではないし、心の問題に立ち入るシリアスパートも、いかにも~な感じがしてしまってちょっと恥ずかしいところもあるけど、美しく可愛い女の子たちと主人公・阿良々木暦の息もつかせぬ脱力系掛け合いが素晴らしい。 ラブコメ漫画かギャルゲーのような人物配置ながら、主人公が全方位外交ではなく、あまり良い目を見てもいないところが受け容れやすい所以でしょうか。冒頭にも書きましたが、大暮維人の絵は好きだったけど…という方は是非一度手に取ってみてください。

【登場人物】

阿良々木暦:主人公。無理して入った進学校で落ちこぼれ、友達をつくらず干渉せず干渉されもしない「能動的孤独」を信条としていたが、道端で瀕死の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会って彼女を救うために生き血を与えたため、自らも吸血鬼になってしまう。偶然出会った怪異専門家(お祓い屋みたいなもん?)忍野メメに助けられて人間に戻るが、今も超人的能力をわずかながら残している。その経験から「能動的孤独」はやめて、他者とのかかわりを避けることはなくなっているようだ。相手が可愛い女の子ばっかり、ってのがアレだが…ヒロイン戦場ヶ原ひたぎとの会話は常に防戦一方。卒業が危ぶまれるほどの成績らしく、成績優秀なひたぎの自宅で2人勉強会をしてもらったりしている(しかし羨ましがらない方がいいようだ)。

戦場ヶ原ひたぎ:ヒロイン。長い黒髪の儚げな容姿に怜悧な舌を隠し持つ美少女。バナナの皮で滑って転んだのをきっかけに阿良々木に秘密を知られ、脅して秘密を守らせようとするが、怯まなかった阿良々木は彼女の「秘密」は怪異に原因があると考えて手を差し伸べ、忍野を紹介する。儀式の中でひたぎは初めて自分に憑いた怪異と向き合い、解放される。その後、阿良々木への気持ちを自覚して付き合い始めるが、舌鋒の鋭さは変わっていない。ただし、ごく稀に異様な素直さで衝撃を与えることもある。ツンデレと言う人は言うだろうが、私はなんか違うと思う。

羽川翼:阿良々木やひたぎのクラスメート。成績は断トツ1位、眼鏡が可愛く、胸が大きな委員長。阿良々木と忍野は、ひたぎ事件の前、羽川の「猫」の怪異とも関わったらしい。レジェンド級の秀才ながら明るく面倒見が良く、親しみやすい、良いコなのだが、作中で事件が直接描かれないだけに、まだ底が見えない。やはり家庭の問題を抱えているらしい。阿良々木とは友人関係で、恋愛感情は…。。。

八九寺真宵:阿良々木が公園で出会った迷子の少女。ツインテールにウサ耳のようなリボン、背中からはみ出す大きなリュックといういで立ちも、ところどころおかしな言葉が嵌め込まれた、こまっしゃくれたですます調も、たまらなく可愛い小学生なのだが…彼女の問題にも当然のことながら原因があり、それが解決されたときの清々しい切なさは曰く言い難いものがある。個人的には一押し☆。初対面時の「わたしはあなたが嫌いですッ」の真の意味がわかったときには泣いた。

神原駿河:かつて戦場ヶ原ひたぎと「ヴァルハラコンビ」と呼ばれる仲だったボーイッシュな美少女。進学校のバスケ部を全国レベルの強豪に押し上げたエースプレーヤー。ひたぎを慕うあまり、阿良々木にとってはいろいろ困ったことになっている。思い込みが激しく、科白は折り目正しく、長くて重い。コミックス4巻時点で事件進行中。

キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード(忍):以前は美しく強大だったが、今は拾われた子犬のように可愛い姿になってしまった吸血鬼の成れの果て。月イチで阿良々木から血を貰っている。ひたぎとは初対面時に、互いに微妙な反発心を持ったようだ。

忍野メメ:吸血鬼になってしまって困っていた阿良々木を救った放浪の怪異専門家(衣装を整えると純和風お祓い屋のように見えるが、吸血鬼への対処能力もある。)。怪異の本質を明らかにすることで、憑かれた当人と怪異とを向き合わせ、自力での問題解決に導く。作中では、阿良々木が怪異を背負った美少女たちに出会うたびに相談をもちかけ、事件に関わる形になっている。一応商売になっているらしいが、相手によって報酬相場はかなり変動しているようである。阿良々木などはどうやって払ったのだろうか??

阿良々木火憐・火月:阿良々木の可愛い妹たち。毎朝暦を叩き起こす、炎のように元気な中学生姉妹。優秀で、高校生の間でも有名人だが、今後本筋に関わってくるのかどうかは不明。

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