句集四重奏(浅井民子/本阿弥書店)

ツイのTLに流れてきた句に惹かれて、調べてみたらアマゾンに在庫(古本ですが)があったのでポチってしまった…

 

やっぱり、凄く好き。頁をめくり、連なる句を辿る途中、自分自身の記憶のなかにある幾つもの瞬間が不思議と思い出されました(句の情景に必ずしも近いものだったわけではないけれど)。

 

あれがいい、これがいい、と言い出すとキリがなくて選べないので、範囲を限定して幾つか。

 

<最初にTLで流れてきた中から三句>

 蒼穹をゆらせる冬のあめんぼう

 蚊遣焚くかもめ食堂潮時表

 ラ・カンパネラ奔流となり夜の秋

 

<句集の帯にある「自選十二句」から三句>

 まな板の傷干す秋の魚市場

 引出しにマルクやフラン煤籠

 松手入れ地下足袋あをき女弟子

 

 

 もともと俳句というのは短歌など他の韻文と比べて「ある一瞬」を捉える傾向が強い(と思う)けど、『四重奏』の句は、その時その場のすべてを17字の中に蘇らせている感じがする。句の中で直接言及されていない、空気とか周囲の明暗とか、空間を満たしているものまで含めた、すべてを。

 

久しぶりに、世界に触れるような感じがした。

 

 

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