検察庁法改正案の解説記事を幾つか読んだので、まとめて置いておく

後で振り返りやすいように、自分が読んだ幾つかの記事を貼っておくことにしました(読んだ順に並べてます)。

※私自身は、末尾に述べる理由により、内閣の判断による定年延長には反対です。

 

 

1 いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか(徐東輝(とんふぃ)弁護士(スマートニュース株式会社/法律事務所ZeLo/二弁))

ツイッターで見つけた。note記事。最初に読んだ詳しい解説文。法案への誤解を解くと同時に著者の抱く疑問点を指摘する、という形になっている。中立的な立場から書こうとしているのだと思うがそのあまり、法案の問題点が埋没し、「誤解」という言葉が独り歩きしてしまいそうな印象を受けた(noteを紹介するツイの「ミスリーディング」の箇条書きも…)。

note.com

 

2 超難解な〈検察庁法改正法案〉の条文を分かりやすく読み解く【訂正あり】(園田寿 甲南大学法科大学院教授、弁護士)

新旧対照表その他の資料が頭の方に貼られ、記事の中でどの規定が何条何項に該当するのか明記され、更には読み替え条文も見え消しでどう読むのかみやすくなっており、とてもわかりやすい解説記事。(当初の図が66歳定年になってたのであれれ?と思ってたら、今日見たら訂正されていた)

news.yahoo.co.jp

 

3 #検察庁法改正案に抗議します 賛成意見に捧ぐQ&A(弁護士 江夏大樹(東京法律事務所Blog)

気になる論点についてよくまとまっている。賛成派には再反論もあると思うが、どういう反論になるのだろうか。

blog.livedoor.jp

 

4 【意見書全文】首相は「朕は国家」のルイ14世を彷彿(朝日新聞デジタル) ※検察OBから法務大臣に宛てた意見書全文を掲載した記事

年寄りの昔話と嗤う人もいるだろう。しかし、強い情熱と危機感、そして嘆きを感じる意見書です。

それにしても…記事タイトルは本文中にあるフレーズだけど、どうせ引用するならもっと良いフレーズあるじゃんか…「法が終わるところ、暴政が始まる」(←ジョン・ロックの引用)とか「正しいことが正しく行われる国家社会でなくてはならない。」とかさあ…

www.asahi.com

 

【私の反対理由】

個別に見れば、現任者の役職定年延長によって引き続き任せることで仕事が上手く行く(例えば、後任なら起訴までもっていけなかったであろう犯罪者を、有罪にもっていける)場合もないとはいえない。しかし、①後任にはできない②現職にはできる③たまたま定年の端境期にかかる という事態が生じる可能性はかなり低いと思われる。後任だって優秀な人を採用して、長い期間かけて鍛え、いつ交代するかだって何年も前から見越して人員配置決めてきてるわけで。

一方、定年延長を内閣が毎年判断することになれば、最悪の場合、内閣の恣意によって都合のいい人にできるだけ長くトップをつとめさせ、都合の悪い人は引き留めず普通に定年で出ていってもらう、というやり方で検察を支配できるし、そこまでいかなくても、検察側が内閣の意向を「勝手に」忖度する、という恐れもある。そうなると権力者やその周辺の不正が野放しになったり、権力者に都合の悪い存在を攻撃する道具に使われることさえ起こり得る。

 

つまり、メリットデメリットを比較すると、メリットよりデメリットの方がはるかに大きく深刻というか致命的である。デメリットのような事態が絶対におきない、ということが現在の内閣、そして将来の内閣においても担保されなければ、反対するしかない。総理や大臣の国会での発言や、確立した法解釈でさえ、いざというとき何の担保にもならないということは教えていただきましたので。

 

ちなみに、役職定年は新陳代謝を促し組織を活性化するための措置なので(寿命や労働期間が延びたから一律定年延長、は仕方ないとしても)、通常の公務員の役職定年も個別判断による延長はない方がよいと思ってます。だけど、検察の場合ほどのデメリットは感じないし、大規模災害対応の真っ最中とか、事前に予測できない事態で「この人が抜けたら大勢人が死ぬ」みたいなケースもあり得るので、反対はしません。 

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