とある調節池を散歩していたら、コンクリ造の水路の縁に、灰色のシルエット。逆光でよく見えないけど大きさ的におなじみのヒヨドリかムクドリかな?とスルーしかけましたが何となく違和感があってカメラを向けると
もしやアナタは
つぶらな黒い目と白いアイリングといい、お腹から背中まで続くうろこ模様といい、イソヒヨドリ♀さんではありませんか…!(*1)
ここは海なし埼玉県。「磯ヒヨドリ」の名に似つかわしくない感じですが、都市部・内陸部にも分布を広げているのだとか*2。
ネットにも記事があった。
<2018年5月>
イソヒヨドリの分布拡大を示す調査結果。
<2019年9月>
イソヒヨドリの都市での生活と内陸進出の原因考察
<2020年7月>
内陸部進出の状況及び原因考察
イソヒヨドリの学名はMonticola solitarius 。monticola は「山地の住人」、solitariusは「孤独な」(羅和辞典、研究社、2015年)。英名もBlue Rock Thrush“、「青い岩のツグミ」。
イソヒヨドリはユーラシア大陸に広く分布するが、↑ の学名や英名のとおり山地や岩場が住処であって、海岸の住人ではない。それが日本にやってきときには海岸の岩場くらいしか似た環境がなかったのでそこに定着したが、ビルやマンション、駅などの背の高いコンクリ構造物に近接して採餌ができる草地もある都市の環境が、彼らの元々の生息環境に類似しているため、内陸部・都市部への進出に影響している…ということらしいが、まだ謎は残っているようだ。
翻ってこの辺りを見るに、そこまでの超高層とかではないけど背の高いコンクリ造の建築物はそれなりにあり、草地もある。まあまあの環境…なんじゃないだろうか。
姿かたちだけでなく、歌声も美しいと評判のイソヒヨドリ。既存の鳥たちを脅かさない程度に定着してくれて、近場でその姿と歌声を味わえるようになったら嬉しいな。
*1:同定には、石田光史、『ぱっと見わけ観察を楽しむ野鳥図鑑』、ナツメ社、2015年、P325「イソヒヨドリ」及びサントリーの愛鳥活動「日本の鳥百科」の「イソヒヨドリ」を参考にさせていただきました
*2:前掲書、同頁