「ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄」@国立新美術館

4月に入って平日に行けるようになったら行こう!と思っていたルーヴル美術館展。いつの間にやら5月も半ばになり、先日、慌てて行って来ました。

 

さすがに、フェルメール「天文学者」(上のリンクの展覧会概要で使われている画)を始めとする目玉作品の前には人だかりができていたけど、あまりストレスなく見て回ることができました。やはり、平日はいいなあ。

一番の目玉:「天文学者」

絵画のことは何もわからない私ですが、柔らかいというか頼りないというか、光の当たり方がいかにも学者の書斎という感じ。ちなみにこの作品、別の美術館所蔵(従って今回の展示にはない)の「地理学者」との連作と言われているそうで、確かに描かれている学者は、地理学者の方がだいぶ若いけど、面影が似ている。同一人物が年を経たものか、あるいは親子など、血は繋がっているが別の人物か。実際どうだったかはともかく、いろいろ想像の余地があるところが面白い。若い地理学者の画の方が、朝日のように明るい陽射しに描かれているのも興味深い。並べて見られないのが残念。

 他にもいいなと思った画はいろいろあって、ついつい何枚か絵ハガキ買っちゃいました。

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 はっきりした画像は、展覧会HPの主な作品紹介へどうぞ。でも私のイチオシ「身づくろいをする少女」は入ってないのよね…

一番左側がその、「身づくろいをする少女」(ジャン・バティスト・カミーユ・コロー)

個人的に一番のストライクw

ちょっと気の強さを感じさせる、微妙な表情が何とも言えません。真剣にやっているようにも見えるし、ちょっと面倒臭いというかウゼーなとか思ってるようにも見える。身づくろい中ということで、ドレス姿とかじゃないところがまたポイント高し。

隣の「コローのアトリエ」も同じくコローの作品。

「画家のアトリエ」を題材とするジャンルがあったそうで、これはコローのアトリエなわけですが、マンドリンを手にした女性がアトリエの画に見入っている姿が描かれている。女性はモデルなのか遊びに来た人なのか。それともマンドリン演奏のために招かれた人?見入っている風景は彼女の故郷か、思い出の地か、それともまだ行ったことのない、憧れの地か。ちょっと切なさを感じさせる画。

 真ん中は「女占い師」(ニコラ・レニエ)

ちょっとエラそうなおばさんの手相を見る若いロマの女占い師。しかしよく見ると画面の中の他の2人はそれぞれずるっこいことをやっており、ニヤリとさせられますが、それより何より、女占い師の肌のつややかさが綺麗で好き。

次は「物乞いの少年(蚤をとる少年)」(バルトロメ・エステパン・ムリーリョ)

17世紀中頃、経済情勢の悪化によってセビリアで増加していた浮浪少年を描いたもの。この陽射しは強そうで、日本の夏に通じるものがあるような気がする。

 右端は「チェス盤のある静物」(リュバン・ボージャン)

単なる静物画ではなく、テーブルに置かれた「物」は、味覚(パンとワイン)や聴覚(楽器)など、人間の五感によって得られる快楽をそれぞれ象徴するらしい。パンとワインにはもちろん、キリスト教的意味合いもあるのでしょうが。寓意の面白さに加えて、暗い部屋の中でのワインや花瓶の水の鈍い輝き、楽器のテカり具合にも惹かれます。

  

風俗画展ということで、描かれているのは人間の様々な活動が中心なので親しみやすく、美術の素養とかまったくない私でも楽しめました。もうすぐ終了(6月1日まで)なので、興味のある方はお早めにどうぞ♪

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