うらわ美術館~さいたま市所蔵品展 「人形に捧げた生涯 西澤笛畝の足跡」

うらわ美術館で開催中のさいたま市所蔵品展 「人形に捧げた生涯 西澤笛畝の足跡」に行ってきました。西澤笛畝は、本業は日本画家ですが、人形の蒐集と研究にも情熱を捧げた人であったらしい(葬儀は「人形葬」で行われた…とかパンフにサラッと書いてあるけど、どんなもんじゃそりゃ)。さいたま市がそのコレクションを、建設予定だった岩槻人形会館に所蔵するために入手したのが9年前の2006年。ところが地元との調整や財政面での問題もあって会館の着工は難航し、結局「プレ事業」というわかりにくい形で、宙に浮いたコレクションが陽の目を見ることになったようです(これまでにも何度か、同様の「プレ事業」が行われている。)。

展示会自体の内容はというと、時節柄、雛人形が多かったですが、私としてはむしろ、アジアやヨーロッパなど海外の人形(動物形も含む)が珍しく、面白かった。素朴で稚拙な感じのするものも、きっちりかっちりしたものも。 「玩具絵」というジャンルは初めて知りましたが、要するに人形や玩具を描いた「絵」です。笛畝やその友人で同じく人形愛好家の清水清風などの絵を見ると、この人たちは本当にこういう玩具が好きだったんだなーと感じる。 画家であった笛畝の写生帳も少しあって、精緻な絵だな~と思って見ていたら、別のコーナーの遊びで描いた若駒(これも玩具だろう)の絵は凄く柔らかくて、ちょっと笑いも誘うようなチャーミングな感じがあって、そのギャップにちょっと驚いた。

人形の中では、平田郷夢作・「夢」が可愛くて特に印象に残りました。張り子犬に見守られながら、うたた寝する色白健康優良童子。何とも幸せそうなのがイイ。 というわけで、若干きな臭い背景もありながら、展示会自体はわりと面白かった。とはいえ、市の試算でも毎年1億以上の赤字を出す公算の人形会館があった方がいいのかどうかは、また別の問題。もちろん経済的な損得だけの問題ではないのわけですが…

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