まん防も解除、真冬の寒さも去って、春へと本格始動。もうすぐ終わっちゃう展がいくつもあるし、ワクチン接種やら病院通いやらもあるし、4月からは都大会も始まっちゃうし…スケジューリングが難しいのもちょっと嬉しい、年度の代わり目。
まずは一番気になってたポンペイ展へ。
pompeii2022.jp
久々のトーハク(東京国立博物館)・平成館。
日時指定予約でチケット買っていったのですが、かなり混んでてすぐには入れず。10分くらいは待ったかな?
すべて写真撮影OKなので撮りまくる。
いかにも火山の噴火で埋もれたポンペイ!という感じの遺物ですが、むしろこういうのは数えるほど。
絵画や彫刻、生活用品に装身具など、2000年も昔のものとは思えないような活き活きとして洗練された展示物がずらりと並んでいました。繁栄していたとはいっても人口1万人程度の地方都市でこれなのか…驚きです。別荘が多かったりで、ローマの影響が大きかったらしい。
展示されている絵はフレスコ画かモザイク画が多いのですが、ルネサンス期とか近世の絵画に近いような気がする(詳しくないので間違ってるかもしれませんが)。
「フォルムの日常風景」町の広場みたいなところを描いたフレスコ画。
子連れの男。子どもの手を引いてるようにも見える。
「パン屋の店先」
説明書きによると、当時30軒くらいあったんじゃないかと言われているらしい。パンは平たくて大きい感じに見える。「パンとサーカス」のパンって、ロールパンのイメージだったけど、こういうのだったのだろうか?
これはモザイク画「辻音楽師」。楽師たちの表情が凄い。
この静物画とかも…ガラスや酒に反射する光とか、果物の質感とか、もうビックリ。
ウェヌス(ビーナス)。えらくスレンダーだ。
エジプト起源の女神イシス(左)。こちらもほっそりしている。古代ローマではイシス信仰も隆盛していたそうだけど、ポンペイにもイシス神殿があったのだ。
「ナイル川風景」宗教だけでなく、エジプトの自然も興味を持って描かれていたようだ。タッチも図鑑の絵のように緻密で硬く、静的な感じがする。
こちらは躍動感ある「ワニとカモ」
ギリシア文化に精通することも教養人には必須だったようで、ホメロスを題材にした絵画もある。
「プリセイスの引き渡し」
英雄アキレウスは美しき捕虜プリセイスを戦利品として得て彼女を深く愛するが、ギリシア側の総司令官アガメムノンとすったもんだの揚げ句、プリセイスを彼に引き渡さざるを得なくなってしまう。これを恨んだアキレウスが戦さから手を引くとたちまちギリシア軍は苦境に陥り、「イリアス」の悲劇が始まる…というあのプリセイスが連れていかれる場面。
これがアキレウスよね。真ん中だし、えらく美青年だし。
他にもたくさんありますが、こういう絵があちこちにある大邸宅の壁や床などにどどーんと描かれていたわけです。
こういう
実用的な絵(うちには猛犬いますよ!という注意描き)もあったようですが(カワイイ)。
「職人仕事をするクピドたち」なんていうパロディぽいのも。
そしてもうひとつ素晴らしかったのが洗練された生活用品の数々。
青のガラス壺に白いガラスでレリーフ装飾したもの。カメオ・ガラスという手法だそうだ。光の加減で明るいブルーに輝く。
金庫。でかい。何が入っていたんだろうか。そして、発掘されたとき、中身はどうなってたんだろうか。
優美なかたちと青色が美しい水差し
双頭のスッポンみたいな取っ手がかわいいバケツ
錘が人の頭になってる秤
上目遣いが可愛くもちょっと怖い壺
仔豚の錘
これは変わり種。壁に残っていた賃貸広告。
ということらしい。「品行方正な人々」というのがじわじわ来る。
思わぬ災厄によって切り取られた2000年前の「その日のポンペイ」はあまりにも活き活きとして楽しいし、繁栄と洗練と退廃の気配が混じり合った感覚は現代にもちょっと通じるものがあるような気もして親近感も感じてしまう。災禍を逃れられなかった人たちの最期を思うと胸が痛みます。2000年も経ってからじゃ意味ないのかもしれないけど、ご冥福をお祈りします。
というわけで、とても面白い特別展でした。