それは、日曜の夜。早めに夕食を終え、ちょっと足元が寒かったので珍しくコタツに入ってスマホで本を読んでいた。胸部のちょうど真ん中あたり、あれっ?という違和感を感じたかと思うと、たちまちはっきりとした痛みに変わり、放射状に広がっていく。
激痛と言うほどではないけど鈍痛ではない、結構鋭い痛みで、冷や汗が出そうで出ない、ちょっと吐き気もあるような、ないような…あわてて横になったけど、ぼうっとする頭の中で「救急車」とか「翌朝冷たくなって…」とかいろいろ交錯するうちに、ものの数分で痛みはおさまった。
それでもこれまでに経験したことのない痛み方だったのでさすがに心配になり、ネットでいろいろ症状を調べて、「これは…狭心症にソックリ!たぶん、いや間違いなく狭心症だ!」というわけで、明日行く循環器内科をネット検索で当たりをつけて少し安心して大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を見る。痛み始めたのが『プラネテス』始まるな~という時間だったから、この間1時間足らず。
月曜日。調べておいた循環器内科に電話してから受診。心電図やレントゲンには異常なし。血圧や悪玉コレステロール値なども元々高くなく「うーん(胸の痛みの原因として)逆流性食道炎とか姿勢の問題とかもありますしねえ…」と言いつつ、明日、エコー検査とホルター心電図というものをやってもらえることになった。
そして、万一また痛みが出たときのために、ニトロペンという薬を処方してもらう。ニトロ…ニトロ!?あれですね、小説やドラマでよく出てくる…心臓発作のときに使うやつですか!?医師の先生からも帰りに寄った薬局でも「お守りです」と同じことを言われたのが印象に残った。初めて見る「舌下薬」というもので、飲み込まずに舌の下に入れて吸収させるのだそうだ。
火曜日。エコーはやったことあるけど、ホルター心電図というのははじめて。携帯用の心電図で、24時間の心電図を取るものだそうだ。胸部に何か所か電極を貼り付け、首に下げた受信機(乾電池式。確か単4だったと思う)で記録する。併せて行動記録表をつけ、心電図の動きと行動を照らし合わせて異常がないかチェックする。開始は午前11時頃。公園でランチ買って食べてるときにハトに襲われた以外は何事もなく、24時間が過ぎる。ちなみに、水がかかるとダメなので入浴は禁止。
水曜日。11時過ぎに病院へ。行動記録表を提出して首から下げた心電図を外し、貼り付けた電極をはがしてもらう。5分もかからなかった。24時間経過で自動的に停止するようになっていて、外したときにはもう停止していた。ちゃんと計測できてますように。結果は1週間後になるという。
本日。まだ結果が出来てなかったり、土日挟んだりで10日ほど後になったけど、その間も異常なし。もしかして何ともないんじゃ…という気に半分なりかけている。
まず、エコーの結果をPC画面で見せてもらう。写真ではなく動画で、自分の心臓が動いているのを見るのは不思議な気分だった。こんなに休みなくガンガン働いているのか…と我ながら誇らしいような申し訳ないような。弁が開いたり閉じたりする様子はサンドワームとかドウモウとかの口に似た感じもして、う~ん人体の神秘。感心して見入っていると「血液の逆流もほとんどないですし、よく動いてて問題ないです」との説明。赤とか青とか色付きになってて血流の向きがわかるのだ。
24時間のホルター心電図も、心拍数・脈拍数共に正常な値。つけている間にまた胸が痛くなっていればその時の値がどうなっていたか確認できたはずだけど、幸か不幸か何もおこらなかったので、「検査の範囲では悪い所は見当たりません。しばらく様子をみてください」という結論に。
「姿勢とかが影響することもありますしねー。背中から胸に伸びてる神経もあったりするので」と言われると、確かにこたつでくの字姿勢になってスマホでkindle読んでたしな…という気になってくる。
空振りといえば空振りだけど、とりあえず心臓は元気に動いてくれてるらしいとわかっただけでも良かった!それにしても、血圧低いし悪玉コレステロールも高くないし、人間ドックでも心臓について言われたことは一度もない、等々の相反する事実もいろいろあったのに、症状だけで狭心症に違いない!と思い込んでしまったのは、「ザ・素人考え」そのもの。病気に限らず、焦って思い込むのは良くないですね。気をつけねば。