ちょうど東京で夕方から用事があったのでどっか寄ってくか~といろいろ物色していたら、やっぱ見たいなーと思う絵が幾つもあったので 行って来ました。
三菱一号館美術館に来るのは初めて。
建物は三菱が明治27年に建てた銀行兼事務所「三菱一号館」を再現したもの。
展示室などの設備は新しいですが、窓や階段などもレトロな雰囲気を醸し出している。
展示は表題のとおり、『睡蓮』(モネ)を始めとして、私でも名前を知ってる巨匠の作品も多く、それももちろん素晴らしかったのですが…
とにかく一番印象に残ったのが、ノーマークだったレッサー・ユリィ『夜のポツダム広場』でした(写真右端)。ポストカードだとマットな感じになってしまって光の表現がわかりにくいのですが、現物は……思わず息をのんで見入ってしまいました。
展覧会サイトにも紹介されてますが指定した絵に飛ぶことができないので、イスラエル博物館のサイトから ↓こちらの方が発色も現物に近いと思います。
雨に濡れた路面に鈍く反射する人工の光。都会の夜の賑やかさとわびしさ。行ったことも写真で見たこともない場所だけど、私は(私たちは)この光を知ってる。
あるときはうきうきと楽しく、あるときは怒りや辛さに気を取られつつ、そしてまたあるときはそれらがないまぜになった思いを抱えながら、この光に照らされ、この光を踏んで歩いた。
この絵が痛いほど胸に迫ってくるのは、そう感じてしまうからなのかもしれません。
隣に展示されていた『ベルリンの冬の日』も好き。こっちはポストカードなくて残念。イスラエル博物館のページはこちら ↓
こちらは雨や雪は降っていませんが、路面は濡れているか凍結しているようで寒々しい。でも人々が凍てついた街ゆく姿には余裕があって、陰鬱な中にも都会の冬らしい洗練を感じる。
『風景』
これは撮影OKのコーナーにあった。
これは都会ではないけど、やはり水に映り込む人工の光の揺らめきがイイ。
レッサー・ユリィ(1861-1931)は19世紀末頃から20世紀前半に活躍したドイツの画家。都会の夜の情景を描いた作品が有名ですが、11歳のときに父を亡くし、母がリネンショップを経営して得た収入でユリィたち兄弟を育てたのだそうです。
今回展示されていた『レッドカーペット』↓ も縫製の仕事をする若い女性を描いた初期作品で、そういう生い立ちが影響しているのかもしれません。
ところで、こいつは凄いぜ!どういう画家なんだろう?と帰宅して早速ググって見たら、既に話題沸騰だったんですね。いろんなところで取り上げられてました。会場でも立ち止まって見てる人、ポストカード買ってる人も多かったし。
【報知美術部】第16弾 2021年最大の事件-彗星のごとく現れたレッサー・ユリィ(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
(美の履歴書:721)「夜のポツダム広場」 レッサー・ユリィ 繁華街なのに、なぜ物憂げ:朝日新聞デジタル
あまり上手く撮れませんでしたが、撮影OKコーナーで他の写真も少々。
『麦畑とポピー』(ゴッホ)
現物ははっとするほど鮮やかに赤い。
『エラニーの日没』(カミーユ・ピサロ)
写真だとわかりにくいですが、こんなに柔らかい色合いなのに、輝きに不思議な迫力があって圧倒される。
というわけで、
行ってみて良かった。興味持たれた方は是非どうぞ。1月16日までです。